同じ日本 IP でも違う?Residential IP と Data Center IP の仕組み

家庭とデータセンターがそれぞれインターネットへ接続されているイラスト

同じ日本の IP アドレスでも、家庭用回線とデータセンターでは、接続先から見えるネットワークの性質が異なります。家庭用かどうかは、IP アドレスに結び付いた ASN、ネットワークの登録情報、ホスティング分類、既知の VPN・プロキシ情報、アクセス傾向などから判断されます。

IP アドレスは結び付いた情報とあわせて判断される

IP アドレスは、インターネット上で通信先と通信元を識別するために使われます。家庭用回線かデータセンターかを知るには、その数字に結び付いたネットワークの情報も確認します。

接続先のサービスは、IP アドレスに関連付けられた外部の情報を参照できます。代表的な判断材料は次のとおりです。

  • IP アドレスの国・地域に関する推定情報
  • IP アドレスを管理するネットワークと ASN
  • ISP、企業、クラウド、ホスティングなどの分類
  • 既知の VPN・プロキシ・中継サービスに関する情報
  • 同じ IP アドレスから届く通信の量やアクセス傾向
  • アカウント、端末、Cookie など、IP アドレス以外の情報

これらの情報は、サービスごとに参照するデータや判定方法が異なります。同じ IP アドレスでも、分類結果はサービスごとに異なることがあります。

ASN はネットワークの運営元を知る手がかり

ASN(Autonomous System Number)は、インターネット上で経路情報を交換するネットワークを識別する番号です。IP アドレスから見た ASN は、そのアドレス範囲を広告している ISP やクラウド事業者などのネットワークに関連付けられます。

たとえば、接続元の国が日本と推定されても、ASN が家庭向け ISP のものか、クラウド・ホスティング事業者のものかで、ネットワークの性質は異なります。そのため、国の情報だけでは「どの種類の回線から接続しているか」までは表せません。

同じ日本の IP でも出口となるネットワークが異なる 左は端末から VPN や VPS を通ってデータセンター回線から出る経路。右は端末から自宅の機器を通って家庭用 ISP 回線から出る経路。どちらも日本の IP でも、接続先から見えるネットワークの種類が異なる。 データセンターの出口 家庭用回線の出口 外出先の端末 外出先の端末 VPN・VPS データセンターのネットワーク 自宅の出口 家庭用 ISP のネットワーク データセンター IP 家庭用 IP
国が同じでも、インターネットへ出るネットワークがデータセンターか家庭用 ISP かで、接続先からの見え方が変わります。

Data Center IP はデータセンターの回線から見える IP

Data Center IP は、クラウド、VPS、ホスティング、VPN 事業者などのデータセンターネットワークで使われる IP アドレスを指す一般的な呼び方です。

データセンターの設備は、多数のサーバーを安定して運用しやすく、大きな帯域や固定的な構成を用意しやすい特徴があります。VPN サービスや自作 VPN の出口を VPS に置くと、接続先から見えるのは、その VPS が利用するデータセンター側の IP アドレスです。

同じ出口を多数の利用者が共有したり、短時間に多くの接続が発生したりする場合もあります。実際の扱いは、接続先サービスの方針や判定によって決まります。

Residential IP は家庭用 ISP 回線から見える IP

Residential IP は、家庭向けのインターネット接続を提供する ISP のネットワークで使われる IP アドレスを指す一般的な呼び方です。自宅のルーターや出口機器を通ってインターネットへ通信すると、接続先からは家庭用 ISP 回線が利用する IP アドレスが見えます。

通信そのものが自宅へ届き、自宅の ISP 回線からインターネットへ出ます。

Residential IP という分類は、接続の成功や特定サービスの利用を保証するものではありません。接続先サービスの利用規約、地域制限、VPN ポリシーは別に適用されます。

Residential と専用・固定は別の分類

家庭用 IP について考えるときは、次の分類を分ける必要があります。

分類の軸 意味
Residential / Data Center どの種類のネットワークからインターネットへ出るか
専用 / 共有 1 つのグローバル IP アドレスを単独で使うか、複数の契約者などで使うか
固定 / 動的 同じ IP アドレスを継続して使う契約か、変更される可能性があるか

家庭用回線でも、CGNAT、MAP-E、DS-Lite などでは、外部から見える IPv4 アドレスを複数の契約者で共有することがあります。共有されていても、出口が家庭向け ISP のネットワークである点は変わりません。

固定か動的かと、Residential か Data Center かは、それぞれ独立した区別です。データセンターでは固定 IP アドレスも広く使われています。

接続先は IP 以外の情報も見ている

Web サービスやアプリは、IP アドレスに関する情報と、アカウントの利用履歴、端末情報、Cookie、アクセス時刻、位置情報の許可状態などを組み合わせて接続を判断する場合があります。

出口を家庭用回線へ変えても、端末側の情報は端末の状態のままです。VPN が変える中心的な要素は、通信経路と接続先から見える出口の IP アドレスです。

HomeGrid VPN では Grid を置いた回線が実際の出口になる

HomeGrid VPN は、外出先の IPv4 通信を Cloud Hub 経由で Grid へ運び、Grid を置いた場所の回線からインターネットへ送り出します。Cloud Hub は VPN 経路の中継点であり、Grid を置いた回線がインターネットの出口です。Grid を自宅や実家に置けば、その家庭用回線が出口になります。

Grid を置く場所で、出口となるネットワークが決まります。実家など自分以外が契約している回線を使う場合は、契約者の同意と ISP の契約条件を確認してください。

通信経路と Outbound Only の仕組みは、HomeGrid VPN とは?自宅回線を VPN の出口にする仕組みで詳しく説明しています。